画像生成AIを使うと、キャラクターの全身ポーズを短時間で大量に用意できる。しかし「同じキャラのはずなのに顔が変わる」「衣装や髪型がその都度ブレる」といった悩みも起こりやすい。
この記事では、キャラクターの軸を保ったまま全身ポーズだけを変えて量産するための基本的な考え方と、具体的なワークフローを解説する。個人制作・商用制作のどちらにも応用しやすい内容となっている。
キャラが毎回ブレる主な理由

キャラクターが安定しない原因はいくつかに整理できる。
- 基準となるキャラ画像が決まっていない
- プロンプトの情報量が多すぎて、重要な特徴が埋もれている
- 髪型・服装・体型などの説明が毎回微妙に違う
- モデルのランダム性(シード値など)を毎回変えている
- 参照画像を変え続けてしまい、AI側が「どれが本物か」判断できなくなっている
これらを整理し、「何を固定して、何を変えるか」を明確にすると、キャラクターはかなり安定する。
同じキャラを量産するための前準備

量産に入る前の準備が、後の安定度を大きく左右する。最低限、次の三点を用意しておきたい。
基準となるキャラ設定画像を1枚決める
顔・髪型・服装・体型・全体のテイストが「これ」とわかる1枚を作り、この画像を基準として固定する。
あとから細部を変えたくなっても、頻繁に入れ替えると軸が揺れやすいので、まずは1枚を長く使う方が安定しやすい。
参照画像として毎回読み込む
キャラの顔や雰囲気を揃えたい場合、生成時に基準画像を参照させる機能(画像+テキストの生成など)を使うと、似た顔になりやすい。
サービスやモデルによって挙動は違うが、多くの場合「参照画像を統一する」だけでブレは明らかに減る。
シード値(seed)やランダム性の扱いを決める
- 骨格や体型をなるべく固定したい → シード値を固定する
- 同じキャラで、少しずつ自然な揺らぎを出したい → シード値は固定せずに、キャラ説明の方を固定する
どちらが正解というより、「この案件ではどちらに寄せるか」を最初に決めておくと、後から迷いにくい。
全身ポーズ集を量産するためのプロンプト構造

キャラクターを安定させつつポーズだけ変える場合、プロンプトをざっくり3つのブロックに分けると整理しやすい。
- キャラ固定ブロック(毎回同じ)
- ポーズ指定ブロック(毎回変える)
- 撮影・構図ブロック(基本は共通)
それぞれの役割は次の通り。
1. キャラ固定ブロック
顔・髪型・服装・体型など、「このキャラである」と判断させたい情報をまとめた部分。
ここは文面を変えず、コピペで使い回す方が安定しやすい。
例:
- 「20代前半の女性、明るくフレンドリーな雰囲気」
- 「セミロングの髪、前髪あり、毛先に軽いカール」
- 「白いトップスとデニムパンツ」
など、キャラクターの見た目の根幹だけを簡潔に入れる。
2. ポーズ指定ブロック
ここだけを毎回変え、ポーズのバリエーションを作る。
例:
- 片手を腰に当てて立つ
- 歩き出す瞬間を横から捉えたポーズ
- ジャンプして片手を上げている
- 椅子に浅く腰掛けて、足を組んでいる
長い説明にせず、短いフレーズで動きを指定する方が、キャラの形は安定しやすい。
3. 撮影・構図ブロック
「全身が写る」「背景はシンプル」「スタジオ風」「高解像度」などの撮影条件をまとめる部分。
ここは多少共通化しても問題が少なく、安定性にも影響しにくい。
実際に全身ポーズを量産するワークフロー

STEP1:基準画像とキャラ固定ブロックを決める
- まずはキャラ設定用の1枚を作成し、保存しておく
- テキスト側の「キャラ固定ブロック」を決め、テンプレとして使い回せるようにしておく
この段階を丁寧に作るほど、あとの工程が楽になる。
STEP2:ポーズだけ変えたプロンプトをまとめて用意する
- テキストエディタなどで、ポーズ指定部分だけを変えたパターンを列挙する
- 立ちポーズ/歩き/走り/ジャンプ/振り返り/座りポーズなど、まずは10〜20種類ほど作る
このリストは、後から別案件でも再利用できる「ポーズテンプレ」になる。
STEP3:一気に生成して候補を並べる
- キャラ固定ブロック+ポーズ指定ブロック+構図ブロックを組み合わせて、まとめて生成する
- シード値を固定するかどうかは、用途に応じて選ぶ
ここでは「完璧な1枚」を狙うというより、まずはバリエーションを広く出すイメージに近い。
STEP4:使えそうなカットを選び、必要なら微修正する
- 顔の向き、表情、手の形など、細部が気になるものは別途調整する
- 指先や髪の流れなど、AIが苦手としやすい部分は、必要に応じて追加プロンプトや別工程で整える
この段階で「使えるポーズ集」がまとまってくる。
キャラの軸を維持したまま多様なポーズを作るコツ
不要な情報は入れすぎない
背景の設定やストーリーなど、ポーズ生成に直接関係のない情報を長く書きすぎると、キャラの見た目がブレる原因になりやすい。
キャラの固定とポーズ指定に必要な情報だけに絞ると、安定度が上がる。
ポーズ指定は短く、要点だけ
ポーズの説明は、短い日本語フレーズを積み重ねる程度で十分なことが多い。
「片手を上げている」「歩いている」「椅子に座っている」など、動きの要素だけをシンプルに書くと、キャラの顔や体型が乱れにくい。
顔アップと全身はセッションを分ける
同じセッション内で顔アップと全身を混在させると、モデルによっては顔の解釈が変わりやすくなる。
全身ポーズ集を作るときは、全身に特化したセッションを用意し、顔アップが必要な場合は別セッションで対応する方が管理しやすい。
応用編:服装バリエーション付きの全身ポーズ集

服装も含めてバリエーションを出したい場合は、ブロック構造を少しだけ拡張すると整理しやすい。
- キャラ固定ブロック(顔・髪型・体型など)
- 服装ブロック(カジュアル/スーツ/制服など)
- ポーズ指定ブロック
- 撮影・構図ブロック
服装ブロックを分けておくと、「同じキャラで服だけ変える」「同じ服でポーズだけ変える」といった組み合わせがやりやすくなる。
ただし、一度に大きく変化させすぎるとキャラの安定度が落ちるため、服装は1パターンずつ丁寧に量産していく方が、結果的に品質を揃えやすい。
まとめ
同じキャラクターの全身ポーズ集を効率よく量産するためには、以下のポイントを押さえておくことが重要となる。
- 基準となるキャラ設定画像を1枚決めて、参照画像として使い続ける
- キャラ固定ブロックとポーズ指定ブロックを分けて考える
- シード値やランダム性の扱い方をあらかじめ決めておく
- 背景やストーリーなど、ポーズに不要な情報は入れすぎない
- 顔アップと全身は別セッションで管理する
この流れを一度テンプレ化してしまえば、案件ごとにキャラクターだけ差し替えながら、安定した全身ポーズ集を大量に作成できるようになる。


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